前回(離婚をするということ②~離婚にあたって決めること~ Ⅰ)の続きになります。
2 離婚後の子どものこと
(1) 親権者
親権とは、ざっくりと言えば子を監護したり、子に代わって財産を管理したりする権利義務のことです。これは、法律上の親子関係そのものとは別に存在します。
現在の日本では、離婚する場合は子の親権者を元夫婦の一方に指定する必要があります(近時の改正により、2026年4月1日からは、離婚後も親権を共同するという選択肢が生まれることとなっています)。親権者と監護者を別々にすることもなくはないのですが、多くの場合同一にします。
先述の監護者の話とリンクしており、審判では監護実績が非常に重視されるため、別居中の監護者がそのまま親権者に指定されることが大半です。
親権者は離婚に伴って指定するため、調停で決まらなければ多くの場合、訴訟で離婚とともに決めることとなります。
離婚後にあらためて「親権者変更」という調停・審判の手続をすることもありますが、やはり監護実績が重視されるため、ハードルは高めです。
典型的には、現親権者による虐待があるような場合に認められます。
(2) 親子交流
先述の離婚前と同様、離婚後の親子交流も定めることとなります。
(3) 養育費
当然ながら、子が生きていくにもお金がかかります。未成熟の子は多くの場合自活できませんから、親が扶養・援助する必要があります。これは親権の有無とは別の事柄です。
そのため、非親権者も離婚後に子の生活費を負担します。それを養育費といいます。
1(1)の婚姻費用のところと同様、家庭裁判所が両親の収入・子の人数や年齢に応じた簡易の算定表を公開していますので、決め方の参考になります。
養育費も審判はできますが、離婚そのものに付随するものであり、離婚訴訟の中で決めることができるため、調停で決着しない場合は離婚訴訟で決めることが多いです。
⑷ 離婚後に生まれた子どもについて
夫婦が離婚した後に、元妻が子どもを出産することがあります。
離婚してから300日以上経ってから生まれたなら離婚とは関係がなくなりますが、離婚後300日以内に生まれた子どもについては、少し複雑になります。
まず、離婚後300日以内に、元妻が再婚しないまま生まれた子どもは、(婚姻中に懐胎したものと推定される結果)元夫の子と推定されます。
この推定を覆すためには、「嫡出否認の訴え」という裁判が必要になり、その裁判は子どもが生まれてから(元夫や父が起こす場合、出生を知ってから)3年以内(近時の法改正により、「1年以内」から延長しました)に起こす必要があります。
他方、離婚した後、元妻が再婚してから、前婚の離婚後300日以内に子どもを出産した場合、子どもは再婚の夫の子と推定されます。
これも近時の法改正による規定で、従来は、女性は(なんと女性だけ!)離婚後一定期間再婚ができませんでしたが、離婚直後でも再婚ができるようになるのと同時に、このような規定ができて、離婚後に生まれた子どもについての規定が整理されました。
3 離婚にあたってのお金のこと
(1) 財産分与
財産分与とは簡単に言えば、夫婦が婚姻中に築いた財産を夫婦で分け合う制度です。※
分け合うのは婚姻中に築いた財産(「夫婦共有財産」といいます)ですので、婚姻前からの財産は対象になりません。
そのため、別居時の資産の残高のわかる資料と、婚姻時の資産の残高のわかる資料をご準備いただくことが多いです。
また、婚姻後の財産であっても、「婚姻中自己の名で得た財産」はその対象になりません。
「自己の名で得た」というのがわかりにくいですが、給与や仕事をした報酬などは、「自己の名で得た」ことにはなりません。婚姻中に相続した財産などが「自己の名で得た」財産(「特有財産」といいます)として、財産分与の対象外となります。
実務上は、特有財産を除いたお互いの資産を、足して2で割る運用が一般的です。
減っている場合や、どこからどこまでが特有財産かの判断が難しい場合の処理は個別ケースごとに様々です。
婚姻前からの財産は対象にならないと述べましたが、どの部分が「婚姻前からの財産」なのかの判断も難しい場合があります。
たとえばある口座に婚姻時に100万円、別居時に200万円の残高があったとき、単純に見れば増加した100万円部分が分与の対象になりそうです。
しかし、婚姻から別居までの間にその口座の残高が一度ゼロになって、その後だんだんと残高が回復していって別居時に200万円残っていた、というような場合は、200万円全額が婚姻後に築いた財産として分与の対象になりえます。
他方で、残高がゼロになった原因が単に他の口座に100万円の残高のすべてを移動したためであり、その後に当該他の口座から100万円の残高を元の口座に戻して、それから残高が増えて200万円になった、という場合なら、また話が変わってくる可能性があります。
特有財産の議論においては、こうしたお金の流れを証拠に基づいてきちんと裁判所に説明する必要がある場面もあります。
(2) 慰謝料
離婚の原因にもさまざまありますが、原因次第では慰謝料請求権が発生する場合があります。
典型的には、不貞による離婚や暴力による離婚の場合です。
慰謝料額は事案によってまちまちですが、たとえば不貞の場合は婚姻期間や不貞の期間、子どもの有無などが大きく考慮されます。
慰謝料は、基本的には調停で決まらなければ訴訟になります。
(3) 年金分割
年金分割というのもあります。これは要するに、婚姻期間中に支払った年金保険料のうち、厚生年金の部分を分割するという制度です。受給額ベースではなく、支払った保険料ベースでの分割になります。
婚姻中に支払った年金保険料額は年金事務所や共済窓口で「年金分割のための情報通知書」を取得して把握することができます。
情報通知書の取得には時間がかかることも多いので、離婚のご相談の際は早めに情報通知書の取得の手続きをすることをお勧めします。
以上
※ 説明の簡略のために飛ばしましたが、ここで説明したのは「清算的財産分与」であり、財産分与にはその他にも「扶養的」側面もありますし、慰謝料等を財産分与に含めることも妨げられません。