■土地を借りている方へ〜借地権の更新・建て替えの基本〜-弁護士髙木

 「HC通信」をご覧の皆様、こんにちは。日比谷シティ法律事務所の弁護士、髙木剛です。
 私のもとには、親の代から土地を借りて家を建てている「借地人」の皆様から、日々さまざまなご相談が寄せられます。「更新の時期を過ぎてしまったがどうしよう」「家を建て替えたいが地主が承諾してくれない」など、どれも生活と財産に直結する切実なお悩みです。
 借地権は、日本の法律で非常に強く保護されている権利ですが、長年の人間関係が絡むため、一度こじれると当事者同士での話し合いによる解決は極めて困難になります。今回は、土地を借りている皆様が直面しやすいトラブルについて、基本的な解決策を解説いたします。


1. 「更新の時期を過ぎてしまった!」「更地にして返して」と言われたら

 借地の契約期間が満了しても、慌てる必要はありません。借地上に皆様の建物があり、そのまま土地を使用し続けていれば、法律上自動的に契約が更新される「法定更新」という強力な仕組みがあるからです。
 地主が契約の更新を拒絶し、立ち退きを求めるには、法的に極めて高いハードルである「正当事由」が必要です。地主側の事情だけでなく、皆様がその土地に住み続ける必要性も十分に考慮され、簡単には立ち退きは認められません。
 立ち退き(正当事由)が認められるかどうかの判断においては、地主からの「立退料」の支払いも要素の一つとして考慮されます。そのため、地主から立ち退きを求められたとしても、言われるがまま安価な立退料で合意する必要はありません。適正な解決条件や具体的な対応については、専門家にご相談されることをお勧めします。


2. 「家が古くなったので建て替えたい」ときはどうする?

 自分の家なのだから自由に建て替えられると思いがちですが、借地の場合には注意が必要です。実は、多くの借地契約には地主に無断で増改築をしてはならないというルール(増改築禁止特約)があり、建て替えや大規模なリフォームには「地主の許可(承諾)」が必要になるケースがほとんどだからです。
 もし無断で許可が必要な工事を強行してしまうと、最悪の場合、借地契約を解除されて土地を追い出されるリスクがあります。地主に許可をもらう際には「建替承諾料」を支払うのが実務上の慣習ですが、地主が法外な金額を要求してきたり、頑なに許可を拒否したりすることもあります。
 しかし、諦める必要はありません。裁判所に申し立てをして「地主の承諾に代わる許可」をもらう制度(借地非訟手続)を利用すれば、適法に建て替えを進められる場合があります。詳しい手続きについては、専門家にご相談ください。


おわりに

 今回は借地の更新と建て替えの基本をお伝えしました。次回は、借地権の売却や更新料に関するトラブルについて解説いたします。

2026年07月24日|HC通信(ブログ):弁護士 髙 木   剛