■働く人雇う側のルール~退職について-弁護士松浪

1 退職させてくれない!

 最近、会社を辞めたいのに辞めさせてくれないというトラブルも増えています。
 法律上退職日の2週間前までに退職する意思を明らかにすれば退職できます。また、酷い働かされ方をしていた場合には、即日退職できる場合もあります。有給休暇を消化していないなら、退職日に有給休暇を使い切るように設定して、退職届を出すといいでしょう。退職届の受領を拒否された場合、内容証明郵便やFAXなどを利用したらよいと思います。その際、内容証明郵便などで出すことになった経緯や退職理由を具体的に記載することで、使用者が今後の紛争の可能性を察知し、受け入れるケースもあります。


2 退職するなら、損害賠償請求をすると言われたら?

 労働者が、契約期間の途中で会社を退職した時や、ミスをした場合に、ペナルティとしていくら支払うというようにあらかじめ賠償額を決めておくことは労働基準法16条で禁止されています。ミスしたわけでもないのに損害賠償すると脅してくるのであれば、気にせず退職届を出して退職すればよいと思います。

 ミスがあったとしても、会社は被った損害を当然に労働者に請求できるわけではありません。十分注意を払っていた場合や軽過失の場合、損害賠償は認められません。ケースバイケースですが、賠償しなければいけない場合でも、必ずしも損害全部を賠償しなければいけないわけではありません。

 会社の要求に応じる前に、具体的にどんなミスでどんな損失を受けたのか確認してください。その場で結論は出さずに、「専門家に相談して回答します。」などと結論は保留にして、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

2017年06月05日|HC通信(ブログ):弁護士 松 浪   恵