■離婚をするということ①~離婚の流れ~-弁護士清水

1 離婚のしかたの種類

 一口に離婚といっても、離婚のしかたには種類があります。
 ざっくりと大きく分ければ、お互いの合意による離婚と、裁判による強制的な解決としての離婚です。
 さらにそれとは別次元で、裁判所を介さずにする離婚(協議離婚)と、裁判所の手続を通じてする離婚(調停離婚、審判離婚、判決離婚、和解離婚、認諾離婚)があります。
 協議離婚はわかりやすく、単に夫婦両方が同意して、離婚届を書いて提出することで成立する離婚です。
 手続としては最も簡単ですし、実際、最も多く用いられている離婚の方法です。
 2018年の人口動態統計をみると、離婚総数は20万8333件、そのうち協議離婚が87.4%、調停離婚が9.5%、審判離婚が0.5%、判決離婚が1%、和解離婚が1.6%、認諾離婚は0%(11件のみ)でした。
 しかし、夫婦の片方が離婚をしたがっているときでも、もう一方が離婚に同意するとは限りません。
 そのようなときは、離婚をしたい方はもう一方を相手取って、まずは家庭裁判所に「家事調停」を起こすこととなります。


2 家事調停って?

 調停という言葉は、裁判と比べるとやや耳慣れないかもしれません。
 調停とは、当事者間に争いごとがあるときに、裁判官と調停委員という人が間に入って話し合いをとりもつ手続です。
 あくまでも話し合いの手続のため、最終的にはお互いが納得して、「こうしましょう」と決めることを目的としています。
 ここでお互いが納得すれば、「離婚をします。財産分与はこうします。慰謝料はこうします。子どもの親権はこうして、面会交流はこうします」などと決めて離婚をすることができます。
 それができない場合には、調停は「不調」といって、離婚をするしないを決めることなく終了してしまいます。相手が出てきて「嫌だ」と言う場合はもちろん、相手が出てこない場合にも、合意はできませんから、調停での離婚はできません。
 そうすると離婚が決まらずに終了するわけですから、当然、そのまま放っておいたら婚姻関係が続くことになります。
 それでは困る、という場合には、裁判をすることになります。
 それなら最初から裁判をさせてよ、と思われるかもしれませんが、家事事件手続法という法律(257条1項)で、家事調停ができる事件については裁判の前に家事調停をしなければならないことと決まっているのです。
 審判による離婚というのもあります。
 これについて説明すると、調停等の手続の中で裁判所が相当と認める場合に、「こういうふうにしなさい」という判断を示すことを調停に代わる審判といいます(家事事件手続法284条)。しかし、これは当事者から2週間以内に異議の申し立てがあれば効力を失うもの(同法286条1項、2項、同279条2項)なので、あまり多くは用いられていません。
 先述の人口動態統計でも、0.5%にすぎません。


3 裁判を起こすと

 裁判とは、調停とは異なり、裁判所がお互いの主張を聞き証拠をみて、最終的に「こうします」という結論(判決)を出す手続です。
 判決は強制力をもち、裁判所が「原告と被告を離婚する」という判決を出し、それが確定(※)すれば、その判決を本籍地の役所に持って行って手続をすることで、相手が嫌だと言っても離婚ができます。
 しかし、裁判で判決が出るには時間がかかることも多く、被告が争う場合は1年以上かかることもあります。逆に被告が裁判に対応しないような場合は、1回だけで終わってしまうこともあります(※2)。
 裁判を起こした場合も、判決が出るよりも前に当事者間で話し合いができれば、訴訟上の和解という形で離婚などの条件を決めて裁判を終わらせることができます。
 時間をかけて判決で決着をつけるよりも早い段階で和解ができたほうが双方にメリットがある場合も多いため、裁判所も積極的に和解を勧めてくることがあります。
 実際、先述の人口動態統計でも「和解離婚」が「判決離婚」よりも多くの割合を占めています。


4 調停が成立したり、判決が出たら

 日本の法律では戸籍を司る役所と裁判所とが別なので、調停や裁判で離婚が決まったとしても、「離婚が決まったぞ。ああよかったな」といって放置していれば戸籍上の婚姻関係は続いてしまいます。
 そのため、調停離婚の場合は調停調書の謄本を、判決離婚の場合は判決謄本と確定証明書(※)を添えて、離婚届を提出する必要があります。
 この届出は戸籍法(77条1項、63条1項)により、調停成立または判決確定から10日以内にするものとされています。
 10日の期間を過ぎても届出ができなくなるわけではありませんが(戸籍法46条)、正当な理由なく期間を過ぎてしまうと、5万円以下の過料という制裁を受ける場合があります(戸籍法137条)ので、気を付けましょう。
 この他、健康保険や年金の手続もありますので、事前に役所に問い合わせておくのがいいかと思われます。
 なお、結婚の際に氏(苗字)を変えた方は、離婚から3か月以内に届け出ることで離婚後も戸籍上、結婚時の氏を名乗ることができます(民法767条2項、戸籍法77条の2)。
 これは離婚の届出と同時でなくてもよいので、該当する方は離婚の際にはご留意ください。

※ 判決の確定
 日本の裁判は、判決が出てから一定の期間は判決への不服申し立てが認められています。不服申し立てがされるとふたたび裁判が行われます。最初の裁判とあわせて原則3回まで裁判ができるので、日本の裁判は三審制と呼ばれています。
 期間内に不服申し立てがされなかったり、3回目の裁判で結論が出たりすると、その判決は確定します。
 判決が確定した場合、裁判所に申し出れば確定証明書をもらうことができます。戸籍の届出の際に必要になるので、貰っておきましょう。

※2 擬制自白と人事訴訟
 通常の、たとえば貸金を返してもらうような裁判では、原告が訴えて被告がそれに応答しない(答弁書を提出せず、期日にも出頭しない)場合には、被告は原告の言っていることをすべて認めたものとみなされます(擬制自白。民事訴訟法159条1項)。
 しかし、離婚などの訴訟では、この擬制自白は成立しません(人事訴訟法19条1項)。
 とはいえ、被告が何も対応しなければ、比較的簡単な証拠(たとえば、原告本人の言いたいことをまとめた書面)の提出をもって原告の主張が正しいものと認められるケースが多いようです。

(清水 皓貴)

2020年08月28日